ああ栄冠は誰に輝くの?「砂の栄冠」

最近はサッカー一色ですねぇ。アジア杯で不思議なジャッジに惑わされつつも勝利したサッカー日本代表。深夜にも関わらず視聴率が高かったそうで・・・。やはりW杯で結果を出したからこその盛り上がりだったかもしれません。また、終わってしまいましたが高校サッカーも見所が多かったです。自分も高校時代にサッカーをしていたこともあり、とても感慨深く見ていました。
サッカーのいいところは天気に関係なくボール1つで楽しめるとことだと思います。だからこそ世界中でサッカーが人気なんだと思いますよ。
しかし、日本人の心にはまだまだ野球が根付いているようにも思います。特に夏の甲子園の盛り上がり方は異常です。強豪であれば学校をあげての応援は当然ながら、その地区全体が大盛り上がり。例え自分の出身校ではなくとも自分の県の代表校が出るとなれば、子供からお年寄りまで釘付けにさせられます。高校サッカーではなかなかこうはいきません。高校野球は青春時代の目玉です。



甲子園には甲子園の勝ち方がある

甲子園にはドラマがある・・・。ずっとそう信じていましたが、”甲子園という舞台での勝ち方がある”と言ってのけた漫画があります。それはヤンマガで連載中の「砂の栄冠」です。
作者の三田紀房先生については言うまでもないですよね。一番有名なのはドラゴン桜でしょうね。あの独特ながら妙に説得力のある言葉が印象深い作品でした。ただ、三田先生は野球漫画を元々やっており、言い換えれば帰ってきた甲子園の星!といったところでしょうか。まぁ、何にせよ甲子園という話題を尖った目線で見れるのは面白いです。





手に溢れる甲子園までのお金

甲子園を夢見る高校、選手、そして大人たちはたくさんいます。行くまでも困難であり、行ってからも苦戦続き。それが甲子園だと思います。
創立100年に是非甲子園へ!と目論んだ樫野高校。有力な選手も揃え、名のある監督を呼んだもののあと1歩及ばず・・・。101年目に残ったのは、実力のある選手1人(主人公)、実は能力のない監督、やる気の無くなった先生やOB。そんな中で夢の甲子園へと向かおうとするのが主人公の七嶋選手なわけです。
七嶋選手を助けるのは、樫野高校101年目でも決して見捨てず見守るトクさんというおじいちゃん。トクさんは自身のお金1千万円を七嶋に託します。君なら甲子園へと連れて行けるはずだ・・・と。学校やOBは全く期待できないからと高校生に1千万円渡す勇気が凄いと思います。そして、その1千万円を手に甲子園までの本気の道のりが始まります。

もう、この展開だけでワクワクしてしまうんですが・・・。


結構、この七嶋という主人公が賢いんですよね。そして、夢もある。嘘をつき通せるだけの芯の強さもある。そんな七嶋が1千万円をどう使うのかがとても楽しみです。で、その使用した事柄の1つとして「1人で甲子園を見に行こう!ツアー」が開催されます。そこから冒頭の甲子園の勝ち方を教えるおじさんに会うわけです。
”甲子園での勝ち方がある””筋書きのないドラマなんて嘘”だと言うその理論にはかなり納得させられました。読後に、あの三田先生の説得力のある言葉を信じつつある自分がいました。そこは読んでもらうとして、むしろそのおじさんたちの素性がなかなか面白いです。簡潔に言えば・・・甲子園マニアです。
バックネット裏を毎年、毎大会に渡り陣取り、マニア仲間と甲子園での試合を見続けます。三田先生曰く本当にいるそうです!!ちょっと信じられませんが、甲子園ならいてもおかしくないと思わされます。そして、その甲子園マニアの方々に今後の樫野高校の方針を聞く七嶋・・・。





結論から言えば、誰からも愛される高校を作ること。そして、自分自身も非の打ち所のないキャプテンになること。甲子園から戻ってきて、これを徹底し始めます。まぁ、それはそれは見事な演じ方。どこかの主演男優賞くらいならいけそうだと思います。

ちょっと気になるのは、お金が動いているということ、マネジが暗躍するのでは??と思わされる部分があることなどでしょうか。また、チーム自体もイマイチなのが気になるところ。何か甲子園に行く前に人間関係がどうにかなるんじゃないかという危うさを持ちつつ、砂の栄冠は進んでいきます。筋書きのないドラマではなく、自分で掴み取る栄冠のために・・・。今後も気になる作品です。