月マガで始まった新しい音のムーブメントを堪能しましょう「ましろのおと」

今まで読んできた漫画で好きな作品を・・と言われると、どうしてもBECKが俺的ランキングに入ってきます。毎号毎号泣かされましたねぇ・・・。このBECKという漫画はハロルド作石先生が2008年まで月刊少年マガジンで連載していたロック漫画で、講談社漫画賞やアニメ化、さらには先月映画化までされてるものです。
ところで映画のBECKはどうでしたか?あまり漫画原作の映画は見ないようにしているのですが、さすがにBECKについては気になってました。いい噂はさほど聞きませんが・・・。まぁ、好きだからこそ自分の世界観を壊したくないというか、見なくて良かったというか。

本当に本当に好きで、最終話が掲載されたときに嬉しいような悲しいような気持ちになったのを覚えています。ヘタに続けてしまってダメになるよりも、あそこでまとめた、最高の作品の寿命を全うできたことが嬉しかったです。でも、泣いちゃいましたねぇ。



BECKの終了が俺と月マガとの縁の切れ目だと思っていました。看板だったBECKがいなくてもcapetaが俺を改めて熱くさせてくれる。海皇紀が終わっても修羅が始まった。パンプキンも息を吹き返してきたし、仮面ライダーはいつでもかっこいい。四稲家の人々だってゆる〜くニヤニヤさせてくれます。全て大好きな漫画です。


そして、BECK*1が終わってから空いていた音楽漫画の枠に、新しい音楽漫画が始まりました。題材は津軽三味線!作者は羅川真里茂!タイトルは・・・「ましろのおと



津軽三味線漫画!!

羅川真里茂先生といえば、赤ちゃんと僕スmしゃにむにGOといった少女漫画を土俵にしていた方であり、読者を感動させることに非常に長けている漫画家さんです。これで期待しないわけがない・・・というか、よくぞ月刊少年マガジンという舞台で漫画を描いてくれたなぁと驚き半分、嬉しさ半分な気持ちです。

何故に津軽三味線を・・・と思ってたんですが、羅川先生って青森出身だったんですね。納得です。作中のキャラたちも青森の方言を使っていますが、地元なら適当な方言ではないのでしょう。時々※で意味が書かれていますが、まぁ・・確かに・・分かりづらいよね青森さんの言葉って。


三味線の師匠であり、ずっと大切にしてた爺ちゃんが亡くなったことを機に東京へと上京してきた主人公・澤村雪。自分の三味線を見つけるために家を出ましたが、半ば全てを見失ったような状態でふらついているところを、ユナという女性に拾われます。アイドルを目指して夜のバイトをしたり、バンドで売れるという夢を持ったダメ男に貢いだりな女性ですが、なかなか芯の通ったないすばでー。そんな彼女がいつのまにか「自分の音」で悩む雪を立ち直らせていきます。



最後のキス

しかし、夢が破れたユナは実家に戻ることになります。自分の音を見つけようと励む雪を見て嫉妬し家から出て行けと告げますが、そんなユナを勇気付けたのが雪の三味線の音でした。そこから吹っ切れたように実家に戻るユナが最後に雪に送ったのが・・・キス。


・・・・・。


あれ、16歳の田舎少年のファーストキスを奪って行っちゃったよ・・・・・。




まるで読みきりみたいな話だなぁと思うかもしれませんが、これって実は読みきり(120P)です。第1巻でも0話扱いになっていますが、本当のましろのおとはここから始まっていきます。雑誌で読みきりとして載った時にまさか連載は・・と思ってたんですが、なかなかどうして面白い。第1話からは母親が登場し、東京の高校に通わされることになり、新たな出会いがスタートです。



本当のヒロイン 前田朱利

結局、雪にとっては自分の音がテーマなわけですが、無くしていた三味線への意欲をユナが取り戻し、次は朱利が雪の音探しの鍵を握っていくことになります。第1巻で出ている内容しか書くつもりはありませんけど、それでも色々と伏線が張られまくっているので期待は大きいですね。もちろん三味線と朱利と雪がどういった形で結びつくのか、雪の目指す音が何なのか、兄が敵わなかった田沼総一がどうやってライバルになっていくのか・・・etc。*2



音楽漫画はたくさんあれど、三味線漫画ってないですねぇ・・・。羅川先生がずっと描きたかったテーマだそうですが、さすがに少女漫画ではできないかなぁと思います。
特に歌詞があるわけでもなく、楽器の演奏を、本当に音を聞くことを楽しむような作品なわけです。歌詞があればどういう気持ちかをより分かりやすく伝えることができます。それをせずに音から見える情景を描き、そしてそこに至るまでの人間模様を描いています。こういう見せ方もあるんだなぁ・・・。

雪は1巻の中で4回演奏を行っており、その全てで多くの人が雪の音を聞き入っています。それは同時に読者を惹きつける音でもあります。BECKがやっていた「絵から伝わってくる音」がましろのおとにもありました。こういう音楽漫画は伸びるし面白いだろうと言い切れます。むしろ、そんな期待を込めたくなる第1巻でした。まぁ、映画化されたら・・・・見ないと思いますがね。



*1:中村メイ子も忘れてないよ!

*2:雑誌の話数を考えると2巻もすぐじゃないかなぁ・・