別冊少年無駄話 第2回「超人学園 混沌魍魎青春事変」:石沢庸介

別冊少年マガジン(通称:別マガ)の新人さん紹介の第2回です。今回は石沢庸介先生の「超人学園」です。この石沢先生ですが、実は3年前の新人漫画賞を獲っています。「奇才にして鬼才」という煽り文にある通りの漫画家さんですよ、実際。


ある種の鳴り物入りと言っていい存在なのかもしれません。新人作家の6人の中で唯一前半登場。しかもカラー付き。編集部の本気度が窺えます。これはつまり編集部にとってもそれだけの扱いをしたくなる漫画家さんであるということです。それを踏まえた上で一つだけ言わせてください。



石沢先生すげえよ。



まずこの漫画についてですが、超人学園と言われるだけあって学園モノ・・・というわけではありません。むしろ学園を作ろうとする時のお話なので、ある意味第0話みたいなものかもしれませんね。まぁつまりは本編には入っていないようです。


主人公の神冗徒無(シンジョウアダム)は「超・主人公体質人間」と呼ばれる体質で、妙な生き物や出来事を引き寄せてしまいます。そしてその中の一つであろう出来事として悪魔・オスカ・L・デュークに出会います。




アダムとオスカ


アダムは自らが引き起こす不思議な出来事で色んな人たちを巻き込んで来ました。人はそれを「不幸」と呼びアダムを忌み嫌い、それが元でアダムは多くの人を拒絶してきました。・・・って、ふと思ったんですが、コ○ンとか金○一も似た様なもんだからそんなに落ち込むこともないよね。一方、オスカも悪魔というだけで蔑まれて来ました。可愛らしい容姿をしていても悪魔は悪魔。時にはオスカの方から歩み寄ってみたものの、嫌われ続けました。


特にオスカの寂しがり方はなかなかのものがあります。怖がらずに近付いてくれたアダムに対してデレデレになるくらい寂しがっていたようで。アダムもアダムでオスカのために過去のビックリドッキリ体験を話してあげます。そんなちょっとした時間ではあったものの、オスカにとっては最高の時間でした。アダムにとっての楽しかったの8兆倍楽しかったというのはオスカの弁。



楽しそうなオスカ


まぁ、ここからオスカの気持ちがラヴになっても不思議ではありませんね。アダムが引き寄せたエクソシストも、そんなラヴの力で追い返すくらいですからなかなかのものです。アダムの方もオスカとの掛け合いを経て「誰からも相手にされない存在が集まればいいじゃないか」との答えを導きます。そこから超人学園となっていくわけです。



とりあえず石沢先生の作風に感服しました。話の作り方や設定ではなく、面白く楽しく魅せる方法を知っていることにです。こんな漫画がマガジンには必要だったんですよ。できれば今は無きボンボンで連載してもらって、子供達に読んでもらいたかった。
とはいえ、それと全く同種の漫画家さんが別マガにいたりします。それは雷句誠先生。雷句先生が漫画で表現している「本気」を石沢先生は描いています。似た作品じゃないかとも捉えれますが、逆に言ってしまえば雷句先生をマガジンオリジナルで準備できたわけで。これは凄いことだと思います。編集部は新人を育ててる、育ててるよー。大切にしようという編集部の力の入れようも頷けるよー。




泣く顔にしても本当の本当に「本気」なんですよね。欲を言えば、オスカが無駄に愛欲や性欲を力にしすぎじゃないかと思ったりもしますが、悪魔が人との係わり合いで力を使うという設定なら仕方ないかも思ってみたり。ただ、そんな事もちょっとしたことだと思えるくらいに面白い。いい漫画家を掴んだなーと嬉しくなります。おめでとう講談社是非とも石沢先生には雷句先生に負けない漫画を描き続けてもらいたいものです。