これが超リアルサッカーだ!「GIANT KILLING」

この間、「現役プロ野球選手が選ぶ野球漫画ベスト5」という企画をテレビでやっていました。結果は名門!!第三野球部が1位という至極当然なもの。30代以上の人たちからすればドカベンなどの作品が候補かと思われますが、対象が現役選手であることを考えると、俺と同年代(20代後半)にとっては印象の残る作品であり、その対象選手が多かったのかなと思います。連載は確か小学生の高学年だったはずです。野球少年にとっては心に刻まれたはずです。逆に、もう少し年代が下がるとMAJORに、さらに下がるとダイヤとなるのかな?と思っています。

じゃあ、サッカーでやったら??というとキャプテン翼が有力な候補になるかもしれません。さらに1位候補としては「シュート!」も俺の同年代が反応するのでは?と思ってます。しかし、近年の連載作品で青年漫画に載っているGIANT KILLINGは現役漫画として1位を獲りうる可能性も捨て切れません。思い出ではなく、新機軸サッカー漫画を今読めているというのは印象に強く残るはずです。



面白いサッカーを見せてくれるさ

GIANT KILLINGの凄いなと思うところは、皆が面白いと感じるところです。何を当たり前なことを・・・と思うかもしれませんが、ここでの皆は読者だけを対象にしていません。むしろ主人公の達海が、観客を沸かせ、敵も、さらには仲間ですら驚かせる試合をします。ピッチに立つ選手だけが度肝を抜かれるような試合をするのではなく、サッカーというスポーツに関わる全ての人を魅了しています。
サッカーって見る人も、やる人も楽しいスポーツです。サッカーすることを楽しむことの表現だけではなく、サッカーそのものを色んな角度で楽しむことを教えてくれる新機軸のサッカー漫画です。そして、最新の18巻はそんなGIANT KILLINGの良さが全て詰まっていました。





とにかく達海は人身掌握がすごいですね。サッカーはメンタルが重要とよく言われますが、達海の一言一言にテンションが上がります。「お前たちなら出来るよ」と語りかけるところは既に超一流の貫禄を備えています。
元日本代表のアイドル選手が”出来る!”と言ってくれたら、それだけでもうやる気MAXですよね。しかも、チームをどうしたいかという明確なビジョンを持ち、責任を全て引き受け、戦略性にも富む。それだけでもETUの未来が期待できます。


少し気になるのはETUの順位でしょうか。前半戦で10位。優勝するにはジャイアントキリングをやっていかないといけない順位です。当初懸念されていた、ジャイアントキリングをやるのはカップ戦だけということは無くなりました。しかしながら、10位からの優勝は厳しいですよねぇ・・・。最後にどのチームが立ちふさがるのか。勝ち点差12をひっくり返せるのか。色々と気になります。



一方で、サポーターの話もこの作品の特徴です。日本代表の試合を見ていても分かると思いますが、サポーターの一体感はすごいです。賛否両論あったりもしますが日本人の特性として皆で何かをやりきるというのは燃えます。これがクラブとなればウルトラなどを含めて大変なことになります。Jリーグでも過熱したサポーターの話題なんかがでますが、やはりサポ内でも色々とあるようで・・・。
GIANT KILLINGでは昔のサポーターと今のサポーターの対立が描かれています。アットホームな昔の応援と、マスゲームのような今の応援。決してどちらがいいという話ではなく、さらに作中でもいい悪いを描いているわけではありません。しかし、実際に起こりうることとして作品を彩ります。




物語の主人公は達海。試合の主人公は椿。そして、今までは意識をしていませんでしが、サポーターの主人公は子供サポーターのコータだと思います。もしかすると、サポ同士のいざこざを収めるきっかけを作るのでは?と思っていますが・・・。
コータの親父さんは昔のサポで人を集める中心を担っていました。その子供ということである種の求心力はあるのかもしれません。子供だけの集まりからどんどんと大きくなって、最終的には皆が集まる環境を作る存在になれば・・・と期待しています。そういう意味で最新の18巻の表紙はすごく好きです。



さて、試合のほうは椿が慣れないポジションでウジウジしていました。一緒に連続出場をしていたドリさんが自身のミスもあって怪我をし、ウジウジ感に拍車をかけていました。そして、それを止めたのはキャプテン村越。




村越のリーダー風はハンパない。プレーで引っ張り、今回は椿を言葉で引っ張りあげました。自分で勝手に悩むのもいいけど、皆が期待していることには変わりがない。”俺が買ってる”という言葉に胸が熱くなりました。椿に足りなかったほんのちょっとの自信を植え付けた村越△。また、ここからの展開がすんばらしいんだー。19巻も期待大です。
自虐的な人って結構多いですが、ほんのちょっとの勇気があればきっとより輝くんだろうなぁと思ったりしてます。もちろんリアルでの話です。それを後押ししてくれる人間がいるだけで人の成長って計り知れませんよ。

出れない選手もいますが、ETUの雰囲気を見る限り後半戦も絶対に楽しみです。目指せ!優勝!!!





少し無駄話。実は一番気になるというか、知りたいなぁと思うのはETUの総年俸だったりします。誰がいくらもらっているのか、さらに誰が一番の高給取りなのか・・・。予想ではジーノ、村越さん、ドリさんあたりですが。話題が出たら面白そうです。