お前はもう監視されている……「僕はまだ野球を知らない・第1巻」


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ようこそ統計学

今年の高校野球は、花咲徳栄高校が優勝しました。全国まで来れませんでしたが清宮くんや、全国で大活躍した広陵・中村くんなどもいて、かなり盛り上がった夏だったと言えます。やっぱり高校野球は面白いですね。だからこそ高校野球を描いた漫画がたくさんあると言えます。まぁ、プロ野球を題材にすると色々と面倒な時代になったとも言えるのかもしれませんが。




どうすれば勝てるのか。
各高校、朝晩練習を行ったり、筋肉をつけるためにご飯をもりもり食べたり、色々とやっている・・・・はず。プロ野球選手になるような才能もいたり、開花しきらない才能もいたり。そんな高校野球を題材とし、ダイヤのAおお振りといった選手を中心にした物語が多くある中、統計学を取り扱った監督物語「僕はまだ野球を知らない」の1巻が出ました。






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セイバーメトリクス

作者は西餅先生。犬神もっこす「ハルロック」など、一癖二癖どころか百八癖はあるキャラを描き続ける奇才。そんな奇才が野球漫画ですってよ。そうなると、当然普通の高校野球漫画となるわけもなく・・・・。
主役の宇佐智己は、高校野球の監督をしていた父親の考え方、自分のことをプレーヤーとして認めなかった父親の行動に納得せず、大人になるまでこじらせてしまった人です。そもそも野球の才能がなかったので、お父さんの言い分も最もですが、まぁ、色々とあるようです。ただ、そのおかげでセイバーメトリクス(野球の統計学の有用さに気付き、なんやかんやで監督をやることに。すごいぞセイバーメトリクス!やったぜセイバーメトリクス!!

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敵の監督を知る

まぁ、最初にやったのはストーカーですが。
相手を知るためにやったことが、敵チームの監督をストーキングすること。チームの能力が上がる前に、ストーカー能力が上がるってどうよ?しかも、一人や二人ではありません。
プロであれば、試合中のあれこれから調べることもできるでしょうか。そういった統計を取るのが真っ当な方法かと思います。しかし、これは高校野球。そんなことをしていいのですかね・・・・?←プロでもストーカーとかはNG




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最新技術も使います

とはいえ、セイバーメトリクスを使った方法として至極真っ当なこともしています。高校野球なのだと考えると、いささか過剰とも言えますが、バッティングフォームを解析したり、守備の得意不得意などもパソコンを駆使してみたり。夜な夜なグラウンドに穴を掘って機器を設置したりする姿には涙しかありません(そうか?)。
それもこれもチームのため、自分が監督して野球に関わるため。選手として野球に関われなかったからこそ、データを駆使して野球をしたかったわけです。

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審判だって調べてあります

1巻では、主人公の人となり、統計学を用いた野球とは何か、ちょっと変わった練習風景や練習試合などが描かれています。試合なので、当然審判も調べてあるので癖などもリサーチ済み。

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監督の仕事とは

セイバーは、もちろん実績のある手法です。しかし、これは高校野球。選手に納得させるだけでもひと手間でしたし、セイバーメトリクスで自信を持てる子、持てない子だっています。例えば、普通の投手とは違う回転をする気弱な投手だっています(どこかで聞いたことはありますが)。彼は自分の球がヘボいと信じ込み、ネガティブ志向が抜けません。そんな彼に本当の自信を持たせるのが監督なのだと思いますが・・・・。
どういった野球漫画になっていくのかが見ものですが、高校野球では子供の成長という側面もあると思うので、そこを疎かにはしないと思います。おそらく、多分・・・・。不穏な部分があるとすれば、主人公がデータでしか子供たちを見ていないような・・・・・。一体、どうなるのでしょうね。











順調に進んでる練習試合から、2巻以降どうなるか・・・・。非常に楽しみです。根性論をぶっ飛ばす方向でも、根性論も大切だなという方向でも面白いと思いますが。
アフタヌーンでは恋愛工学が猛威を振るっていますが、モーニングツーでは統計学が野球に革命を起こそうとしています。西餅先生なら・・・・、西餅先生ならやってくれる。そんな期待しかありません。少なからず、これまでの作品同様、人と人の関係を大切にして作品を作り上げていくと思います。まずはチームと監督としての関係か、父親への気持ちの整理か。
あと、西餅先生といえば!というキャラが何気にいるような気がします。彼が関わってくるのでしょうか?その辺も2巻以降に期待です。



トンネルを抜けたらそこは人類創世史でした「創世のタイガ・第1巻」


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あの森恒二先生がイブンニングにやってきた

ホーリーランド自殺島で有名な森恒二先生が講談社へやってきました。掲載紙はイブニング。タイトルは「創世のタイガ」。一万年と二千年前的なものかと思わせておいて、あなたと合体したい的なものかと思わせておいて、そんな生易しいものではない物語を描いています。というか、数万年前の話だぞ、数万年前!!!

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男女七人卒業旅行

この物語は、卒業旅行をしている大学生の男女七人が、謎の洞穴と、そこに描かれた大昔の壁画に出合うところから始まります。この中で誰が主役のタイガかは何となーくわかるかと思います。森先生の作品といえば!なキャラが主人公です(ちなみに右から3番目)。
彼は日常に、自分の人生に、感動を覚えない冷めたタイプでした。元彼女ともそんな性根の部分を見透かされて別れていたりもします。そんな彼が出会ってしまったもの。それが、絶望の世界




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絶望の世界へようこそ

マンモスなんかもいます。ちょっと野生解放しすぎかな?という気もしますが、どうやって来たのか、どうやって帰れるのか分かりませんが、数万年前の世界へとやってきました。
ここ最近は異世界転生ものが流行ったりしていますけど、この作品では、時空を越えて数万年も昔の世界へと飛ばされています。最近のヤンマガでは転生ではなく転移して、女の子とセックスしろ!的な漫画もありますけど、そんなのがかわいく見えるほどに過酷な世界へとやってきています。

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ワニ・・・・パニック

正直、ホーリーランド自殺島ですら易しいと言えるかもしれません。歴史の知識だけは豊富な男女七人の大学生が、ガチのけものフレンズたちに囲まれているわけです。ヘタをすると、本当に食べられちゃうぞーなわけです。
何気に帰る方法が分からないというのがやっかいかもしれませんね。まずは生き残ること。けものを倒して、生き抜くこと。ええいっ・・・・岡本健太郎先生を連れてこーい!!!!←通用するかは分かりませんが





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アフリカから中東

現代のトンネルを抜けると、そこには未知の生物たちが跋扈していました(トンネルは崩落済みで帰れません)。マンモスが威圧感を出していました。巨大なオオカミもみたいな生物がいました。カリコテリウムなんかもいました。巨大な巨大なワニも、ハイエナも。
そんな状況の中、自分たちが時空を超えてしまっていることに気付きます。まぁ、この手の話に気付くのは大抵メガネと相場が決まっています。メガネ(アラタ)が言うには、数年前のアフリカ~中東にいるとのこと。もちろん彼らが無類の腕力を、例えば刃牙的な人たちなら何とかなったかもしれません。しかし、彼らは一般人。本当に生きていけるのでしょうか・・・・?




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驚きの人類

そうなると数年前の人類なんてのも出てきます。ネアンデルタール人vsホモサピエンスの戦いなんてのも見ることができました。なかなか意味深な部分がポツリポツリと出てきていますが、現地人?との関わり合いは2巻以降となりそうです。
ここは創世記。生き残る術があるとすれば、現代人としての知識かもしれません。あと、メガネ。あと、シャケおにぎり。それか、豚汁。

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生き抜いてやる

さあ、丸太は持ったか?日本刀は準備したか?タイガたちは吸血鬼を倒すことが・・・・って違う作品だな、それ。






渇いた人生しかなかった主人公のタイガが出合った血沸き肉躍る世界。まだ1巻なのでこれからの作品とも言えますが、きっと大変なことが起きるに違いありません。少なくとも女子二人が無事な補償がないですね。現地の言葉が分からない以上、まともに現地人と関われるかも不明。それ以上に、どうしてそんな世界に来てしまったのかが不思議でなりません。
ただし、タイトルが「創世のタイガ」というだけあって、きっとこの創世記においてタイガが何かしらの役割を担う可能性は否定できません。また新しい人間ドラマが、ここに生まれたことを喜ぶほかありません。今後が楽しみです。



人妻と書いてエロいと読む「まんなかのりっくん・第1巻」※ほんわかホームコメディです


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家族ってなんかヘン!

土塚理弘先生が10年以上もの間ネタをあたためてきたホームコメディ「まんなかのりっくん」。10年前ってバンブーをやってた頃ですかね?かなり昔だなあと思ってしまいますが、むしろそれだけネタとして積み重ねた内容があるとも言えます。
表紙には、土塚先生の作品でよく見るネコのような生き物。そして、その真ん中には主人公のりっくん。

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なんか渋い子・りっくん

時は1980年代くらい。つまりは、バブルのちょい前くらい。田舎に住む5人家族(明日月家)のみんながワイワイやる心温まるホームコメディとなっています。
主人公のりっくんは、明日月家の長男。そして、言うことがどこかオッサン臭く、味の好みにうるさい少年。晩御飯のおかずに「春菊の天ぷら」を所望する小学生とかどこにいるんだろうね。
時代が時代なら、親が海原雄山なら確実に争ってましたね。まぁ、現実はそんな怖い父親はおらず、ちょっと抜けた感じの父親が、子供にかっこつけたい感じの父親がいるだけ。


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妹のうな

父親、母親、そしてりっくんと二人の妹。とりあえず、この二人の妹が可愛いです。長男のりっくん(りく)。長女のくう。次女のうな。りく・くう・うなの3兄妹が作品にかなりいい味を出しています。余談ですが、作中ではお母さんが妊娠しており、その子供にどんな名前を付けるのかがちょっと楽しみです。
長女のくうはしっかり者のお姉さんですが、りっくんはそんな生意気な妹にいつもプンスカしてます。そもそも腕力で妹に負けてるんですけど、時たまお兄ちゃんをやってるりっくんをちょっと尊敬したりはしているようです。そんなところが可愛い。
一方、次女のうなは、りっくんに逆らったりしない・・・・んですけど、何を考えてるのかがよく分からないパターン。



個人的には、下世話な部分のないクレしんを読んでいるイメージに近かったですかね。もう金曜日のテレ朝19時半の枠を譲ってもいいのでは?ってレベル。まぁ、実績は向こうの方が上ですけどね。





確実にこの作品が上回っている点を挙げるとすれば






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美人ママ

お母さんが可愛い
すでに3人仕込んだとは思えない、妊娠しているので4人目まで仕込んだとは思えないほどに可愛いお母さんなんですよ。バブル期の田舎にこんな美人がいようとは。
はっきり言っておきます。掲載紙のモーニングに登場する女子の中でもダントツ可愛いです。4人も仕込みたくなる気持ちも分かるよ、お父さん!!!できればNTRで薄い本を頼むよ、誰か!!!!!

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ママとしての人間臭さ

りっくんの言動に面倒だなという本音もあります。まぁ、お母さんですからね。この、含んだ笑みも可愛い。何もかもが可愛い。

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風呂上がり

本当に1980年代か!?
こ、こんなエロかわママンが俺も欲しかったよ・・・・。







作品としては、明日月家の山に祭られてる神さまとか、その神さまに操られてるネコとか、そんな話もあったりします。むしろ、そっちがメインか?
とはいえ、りっくんが元気な少年として子供時代のど真ん中をいきいきと過ごす様、妹たちのいちいち可愛い姿も見どころ。むしろ、りっくんより妹たちの人気の方が高かったりして?他にも、昔懐かしいと思う話もあったりしますし、学校の先生のクセもすごい。そんな漫画です。昔懐かしいネタは2巻以降かな?
ホームコメディだぞと、モーニングの真ん中で叫んでる作品です。ただまぁ、やはりお母さんがエロくて、可愛いことはどうしても推したい。俺の中のど真ん中のりっくんが、りっくんしてます。←?? 現在、アホガール徒然チルドレンが15分アニメをやってますが、まどからマドカちゃんと一緒に15分アニメを同じ枠でやったりすると面白いと思いますが・・・・。でも、金曜テレ朝19時半を目指しましょう!打倒クレしん!!



正論は剣よりも強し「オオカミの子・第1巻」

今更ながらけものフレンズをまともに見ています。平日の朝にテレ東でやっているというのが大きな理由なんですけど、朝起きて朝ご飯を食べてる時に見るとちょうどいいです。散々言われていることではありますが、結構クセになりますね。面白いです。
自分が子供の頃って、夏休みにアニメや特撮の再放送をやってたんですけど、今ってあまり無いんですかね?それとも、今の子供達って、平日にニュースとかワイドショーとか見てるんですか??どうしているんでしょう・・・・。
まぁ、けものフレンズを朝に見ることができるだけ幸せともいえますが。







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役立たず(ど直球)

さて、オオカミのフレンズ・・・・ではなく「オオカミの子」の1巻が出ました。ヤンマガサードで連載しており、ファンタジー感あふれる世界観、直視したくない正論が身に染みる作品となっています。世の中、子供の正論が一番怖いね・・・・。


オオカミの子

ペンは剣よりも強しなんて言いますけど、子供のど正論の方が強い気がします。作品としても、騎士(剣)よりも子供のど正論が勝る作品です。
まぁとにかく第一印象として、子供が会心の一撃で罵ってくる表紙が印象的。ビックりするほど子供の言葉が強いです。帯文の紹介は見もの。


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ウル子語録

人生は一度しかないからこそ失敗は許されないんだよ
できるかできないかじゃなくて、やるかやらないかなんだよ
働いたら?


やかましいわ!!・・・・と言えたらどんなに楽か。
いやー、子供にこんなことを言われた日にはって感じです。大人から言われたら喧嘩でもしてしまいそうですけど、子供の言うことなので言い返すのも大変。
有名漫画「よつばと!」でも主人公のよつばが煽ってくることは多々ありますが、「オオカミの子」はとにかく正論を言ってきます。時折、お前が言うなよ・・・・ってこともありますが、謎の説得力が妙に怖い。


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魔王を倒すのだ

この作品は、一人の少女と一人の騎士が旅をするお話。仕事を探していた騎士・ディンゴが、護衛としてウル子という女の子と旅をするお話。
ちなみに、旅をすることになったのは、ウル子が「魔王を倒したい」という目的から。そうなると普通は大冒険へ!!・・・・となるのが筋ですけど、そもそも世界が割と平和なのと、少女が特に戦うわけではないので、のんびりとした物語となっています。唯一刺激的なのが「ウル子の暴言」。魔王を倒すとか夢見るようなことを言っている子供が、一番夢を見ていないってどういうことよ。

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おそらくファンタジー

もちろんモンスターも出ますが、1巻で出てきたモンスターは割と良いやつでした。あれ、こいつ以外のモンスターって見てないな。
申し訳程度のファンタジー感を醸し出してくれたこのモンスターとは、町民が仲良くなって終わっているっぽいです(それでいいのか?)。あとは、盗賊なんてのも出てますが、ウル子の「働いたら?」の一言に打ちのめされてます。





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握りこぶしじゃ握手はできない

ど正論言いやがって・・・・。作品的な醍醐味は、やはり各話必ずウル子が良さげなことを言うこと。それが某みつをとは違って心に響かない。突き刺してくる。というか、握りこぶしじゃ~って言ってるこの子が真っ先に殴りかかってましたが。







ギャグ漫画として良質。そして、ウル子の発言がかなり特徴的な作品ですけど、それと同じくらい、護衛のディンゴも逸材であることは見逃せません。話が進むにつれ、彼のツッコミの能力が上がり、心の強さも上がっています。そもそも、物語として致命的な課題があるのがわりと見どころかもしれません。←ネタバレなので読んでください。
ウル子が本当のことを知ったらどうなるでしょうね。いつか現実を見てもらいたいものです。
まぁ、その時はその時で、ディンゴが死ぬだけですが。



風俗王に俺はなる!!!「匿名の彼女たち・最終話」




ついに終わってしまった・・・・。
ヤンマガが誇る風俗叙情詩「匿名の彼女たち」、またの名を「風俗版孤独のグルメ。2011年から続く風俗ぶらり旅が終わってしまいました。66話、全6巻、よく続いたなと割と本気で思います。
いくらヤンマガとはいえ、テーマが風俗ってのはなかなか攻めいてましたね。不定期連載ながらヤンマガでもかなり人気が高かったと思うのですが、突然最終回を月刊ヤンマガでやると告知し、6月~8月の3か月で最終シリーズをやることに。長く続いたとも言えますが、まだまだ続けられたとも言えますし、時代が時代だから終わったのだとも取れます。まぁ、もっとエロいことをやっているヤンマガ作品とかたくさんあるんですけどね。





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内示はいつも、突然に

山下貴大33歳、趣味・風俗。そんな彼が、月刊ヤンマガに飛ばされると共に、エチオピアへと飛ばされることになります(出世コースとのことですが)。
なお、最後のヤンマガのお話が「ヤク中の女」という社会派のお話でした。それがヤンマガ連載の最後でいいのかな?とも思ったのですが、いつかはやりたかった内容なのでしょう。なんせ、社会派漫画ですから。

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ゲソから始まる物語・第64話

さて、社会派漫画としての階段をのぼりつめた作品として、最後の3話で何をみせてくれるのか。そんな期待を込めて始まったのが、まさかの「郷田さん物語」でした。しかも3か月連続。※郷田さんは山下の後輩でサブレギュラーです。
わざわざ説明しなくても知ってるぞと言われそうですが、「匿名の彼女たち」では単発話じゃなかったお話がこれまで2回しかありません。1つは2巻収録の第21話、第22話。もう1つは第43話、第44話。そして3回目となる今回が第64話~第66話(3話連続は初!)。ちょうど20話あたりで続き物を描いています。常識でしたね。
ここで重要なのが、実はこれまでの2回で郷田さんが出てきていたということ。そして、最終シリーズも郷田さんが出てくると序盤で分かるのですが、それがゲソを食った場面だったりします。この店へは、第43話にて郷田さんとゲソを食べてます。優秀な匿名の彼女たちファンは思ったはずです。

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ゲソから始まる物語・第43話





ああ・・・・最終シリーズはやはり郷田さんだな、と。





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最初はちょっとした話

郷田さんの初登場は第21話。山下が後輩として指導した女の子だと紹介され、山下の同期と付き合い始めたという流れ。まぁ、第43話で別れたことが明らかにされていますが。
ここでは山下が他人と深く付き合うことを避けてきたことが示唆され、それが後々の郷田さんとの恋物語?に深くかかわっていくことに。風俗が大好きな山下だからこそ、女性とは割り切った考えで生きてきたというわけで。彼女や家族を持つことに、どこか及び腰な主人公がそこにはいました。

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君が好きだから

そこから、第43話で郷田さんのデリヘル堕ちが発覚します。普通のOLだって風俗やるんやで、君の隣の女の子も?・・・・なんてことを問うた社会派物語。その流れからまさか山下の告白イベントが発生するとは思いませんでしたね。
ここでは残念ながら付き合うことはなく、もちろん突きあうこともなく。むしろ、色々とお互いに思わせぶりな雰囲気なまま、郷田さんは彼女は会社を辞めていきます。話は本筋からずれますが、自分の知り合いがそういうお店に出てたらどう思いますかね?意外と興奮するかもしれませんが・・・・。

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郷田さんがデリった理由

ちなみに、第44話では彼女が会社を辞めた理由が噂されていました。弟が事故っただの、父親が倒れただの。会社の噂なんて適当なもので、本当に裏取りしたのかさえ分かりません。山下も思ったはずです。こういう真偽不明な理由が噂話になるところが会社の嫌なところだなって。












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倒れた父親

本当でしたけど。
会社の噂すげー!!!第65話で明らかになった郷田さんちの家庭事情。本当に父親が倒れていました。もっと言っておくべきことは、山下が過去の経歴書を使って郷田さんの実家へ行ったという犯罪まがいの手法をとったこと(※やってはいけません)。それほど会いたかった女性だったということ。郷田パパが巨根だったということ。

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抱きつ抱かれつ

まぁ、なんやかんやあって、二人は結ばれることに(身体のみ)。ここから本当のテーマの?好きだ嫌いだという深い深い話になりますが、その辺は割愛。とりあえず、愛が恥丘を救うのって難しいことなんだね(しみじみ)。





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エチオピアに風俗はあるかな?

複雑な心情もあって、ぶっちゃけ結婚するようなことにはなってません。そこから衝撃的な展開を迎えますが、わりと衝撃的な展開となりますが、とりあえず山下は単身エチオピア行くことに(4年ほど)。風俗王になるために、海外の風俗を見に行った・・・・わけではなく、普通に転勤で行きました。
最終巻となる第6巻では、描き下ろしがあるようなので、エチオピア風俗とかやったら面白いなとは思ってますが・・・・。

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これも一つのサラリーマン物語

そして、最後の最後。山下の背中で終わるこの風俗叙情詩。ああ、山下の風俗物語はまだまだ続くんだな、孤独のグルメでありそうだなと思わせた最後の一コマ。
続けてほしいな~と思うんですけど、終わってしまうこの作品。この先は君たちの番だぞと言って、言って・・・・・・・・・・・るかは分かりませんが、風情のある最後でした。このまま結婚もせずに風俗王にでもなってほしいものですね。まぁ、俺が風俗王だって奴、この世にめっちゃいると思いますが。









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衝撃的告白

あと、雑誌のコメントでしか近況などは知ることはできませんが、何気に最後の方でとんでもない事実が発覚しています。

「取材費でタダで風俗いけますよ」と騙されて始まったこの漫画も、次号最終回です。(2017年8月号巻末コメントより)

取材費が出てなかった!!
絶対に編集さんと取材費で風俗に行ってると思ってました。誤解していたこと、この場でお詫びします。
逆に、話を描くときに取材していたのかが気になりますね。取材費が出ないからと言って取材しないとは思えませんが。まぁ、それって取材じゃなくてただただ遊んでるだけとも言えますが。取材費が出ないとはいえ、五十嵐健三先生と一緒に行ってみたいという欲求はあるので、今度連れて行ってください(私信)。








今思うと、よく6巻も続いたなと思います(良い意味で)。野球と政治と宗教の話はするなとサラリーマンはよく言われますが、とりあえずゴルフか風俗の話をしておけば何とかなる職業でもあります。だからこそヤンマガのオアシスとして、この作品は続いてきたのかなと思います。
まぁ、ヤンマガにはまだ、ハアハア言う長期連載もありますし、セックスして女性の命を救うびゅるびゅる漫画もあります。最近は若手漫画家さんによる手品パンツ漫画、女教師になぜか変態行為をする漫画もあります。女性読者層とかどうなってるんだろう?と本気で思う雑誌ですが、そこに「匿名の彼女たち」という一つの風が吹いていたことを忘れてはいけません。
そして、ヤンマガの生きる伝説がここに幕を閉じました。まぁ、風俗漫画だったのでマクがなかった可能性もありますが。ガハハハハハ!!!



君が何者かになれた日「アニメタ!」


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「アニメタ!」はいいものだ。そんなことを第1話からずっと言い続けているような気がします。





この作品が2015年の月刊モーニング・ツー8月号から連載された頃からずーっと言い続けてます。アニメが好きだからこの作品が好きなのかもしれません。主人公が魅力的だから好きなのかもしれません。登場キャラがアニメに対して愛溢れているから好きなのかもしれません。まぁ、とにかく好きだとしか言いようがありません。


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好きで選んだ仕事で死ねるなら

作品としては、主人公の真田幸(通称:ユキムラ)による『ゼロから始めるアニメーター仕事』といったもの。なーんもなかった学生時代に、たまたま見たアニメ「王立少女パンナコッタ」(←作中劇)。パンナコッタに心を奪われ、パンナコッタを作った制作会社にアニメーターとして就職するお話・・・・です。
連載開始時期がちょうど白い箱が話題になった頃だったかと思います。あちらはアニメの制作を、こちらはアニメーターの仕事を中心に描いています。



愛があれば何でもできるか。
愛があれば技術がなくてもアニメーターとして生きていけるか。
愛は地球を救うか分からないけれど、アニメ愛を全力投球してアニメ制作している奴らがいるんだぞ、って作品だと思ってます。現状の業界の厳しさも描きつつ、能力様々な人たちもおりつつ、その上で主人公の成長を描いた傑作です。














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愛を見つけた日

漫画でもアニメでも、どこかの時点で「好きな物」を見つけたタイミングがあったのだと思います。『オタクは気付いたらなってるんだ』とは某班目さんのお言葉。ただ、そうであってもオタクになる前のどこかで「好きな物」に出会ったタイミングがあるはず。
主人公のユキムラは、パンナコッタとの出会いがそのタイミングでした。そこから、キャラや物語のみならず、映像の方へ興味が向いていくことに。普通であれば、好きなものを仕事にすることがない人ばかりだと思います。しかし、愛を持ったまま、ユキムラは好きな物を仕事にしました。





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アニメは愛でできてんだよ

で、ユキムラを採用したのが、この九条監督。パンナコッタを作った天才監督となんやかんやある人であり、とにかくアニメ愛の塊みたいな人。そして、何を思ったか、アニメに命をかけられるだけの馬鹿を採用しようとした結果、ユキムラを採用。・・・・なお、ユキムラは作画素人。本当に採用してよかったんですか、監督!?
ただまぁ、ユキムラのちょっとした才能を見抜いた人でもあるわけで。愛ある馬鹿のちょっとした才能に賭けてみたことで、ユキムラの就職が叶ったということになります。
ちなみに九条監督自身がユキムラを指導するようなことはあまりありません。そのあたりは、アニメの制作会社として真っ当に・・・・いや、真っ当じゃないかもしれませんが、ユキムラ育成計画を実施しています。スポコン・アニメーター物語とはよく言ったものです。

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アニメの作り方

そんなわけで、アニメーター制作のお仕事漫画になります。単行本にはアニメの作り方~なんてものも載ってます。
作品を読んでいると、作者の花村ヤソ先生がやたらとアニメ制作に詳しいな~と思うことが多いです。それもそのはず、花村ヤソ先生は元アニメーターだそうで。携わった作品の偉大なこと偉大なこと(ヱヴァとか)。さすがに自分が経験してきたからか、かなりリアルなお話が描かれています。作者の経験が物語の説得力につながるという珍しい例かもしれません。←そうでもないか?







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現状を知っているからこそ

クールジャパンとは何なのかと思うほどに、現場は大変なことになっているようで。
作中では、頭を抱えたくなるほどにユキムラの給料がやばいことになっていることが描かれ、それは業界全体での問題だと示唆されている場面があります。というか、ユキムラに誰か救援物資を与えてあげてほしい・・・・。まぁ、九条監督もそれは理解しており、「好きでやっている仕事でも見合った額を」と言っています。これを理解していないのって経産省くらいじゃないか?
なんか怨念?がこもっているような気もするので、花村先生とかどういう生活だったのでしょうね?

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何者かになれた日

さて、この作品の宣伝を見ていると、元アニメーターが描くアニメーター漫画、業界困窮物語、お仕事漫画、そんな言葉で飾られています。
でも、作品としての面白さの本質ってそこではなくて、普通に花村ヤソ先生が描くストーリーが良いと思うわけですよ。なーんにも技術を持っていなかった少女が、愛を武器に突っ走っていく。業界のイロハを知らず、アニメの作り方を知らず、動画としての画の作り方も知らず。それでも愛と努力と根性で、好きなアニメに向かうわけです。
そして、自分の作った画がアニメとしてTVに放映される。





愛しか持ってなかった少女が、自らの仕事で何かを残せた。





偉業を成し遂げたわけでもないですが、ユキムラは自分の仕事を目にすることで、アニメーターとしての一歩を踏みしめることになります。それに近い感覚って、きっと誰しもが一度は噛みしめたことがあるのではないでしょうか。その感覚を共有できる漫画、何者かになれた日を共感できる漫画になっている・・・・と思います。やりがいってこういうことなのかもしれませんね。









社畜漫画ではあるなと思いますが、社畜を絶賛するような漫画ではありません(アニメーター社畜問題は業界の問題です)。仕事をしていれば辛いことだってある。それをどう乗り切るかを描いた漫画だと思います。
アニメを作る人たちそれぞれの物語も描かれつつ、新人たちの葛藤があったり、家族とのお話もあったり。それでいて、アニメの作り方を知ることができるような漫画です。ちなみに、ユキムラと対比されるような新人が二人ほどいますが、こいつらとの関係も見もの。こんな奴もいるんだろうなぁ・・・・という感情がわくかもしれません。
熱い漫画だと思います。面白さが複雑に絡みすぎていて、伝えきれていないような気もしますが、超オススメです!!



青春のきらめきプライスレス「ちはやふる・第35巻」


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映画も楽しみですね

青春のきらめきプライスレス、と五十嵐読手が評した千早たちの高校最後の夏を描いた33巻。そこから、現在では千早の高校生活を総括すべく、冬の名人・クイーン戦予選が35巻で描かれました。
とにかく、35巻は格別に良かったです。高校生の青春をぶつけたった!!というこれまでの話から、『かるた人』それぞれの青春を描いた話にシフトしており、濃厚に、重厚に、かるたに賭けた人たちの物語が描かれています。大人も子供も本気になって挑む競技かるたという世界。生き様という言葉が相応しいストーリーが展開されてましたね。




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いっつも準備不足だな

よくよく考えると、大事なときに限っていつも準備不足な3年間だったように思います。全国大会でぶっ倒れたのって1年のときでしたっけ?あの時は、あれだけの予選を戦った結果がこれかい!!と思ったものでしたが、今から思うと・・・・・ずっとそんな感じでしたね。
成長してない???と思う部分もありますが、逆に、準備不足の状態でも何とかしてしまうだけの「経験」を得てきたとも言えます。
なお、今回も朝まで勉強してた(寝てた)状態から、バタバタで出発した際に爪を割ってしまう・・・・ということをやってます。クイーンが待ってるんですよ!???と言いたかったところですが、10年後も20年後も千早はこのままかもしれませんね。

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悪役化した人

一方の太一ですが、周防名人風になってきました。昔は青春まっしぐら感の強いキャラでしたし、不運感の強いキャラでした。それが、瑞沢かるた部を辞め、周防名人から色々と吸収した結果、ある意味良い闇堕ちをしています。
名人戦予選では、対戦相手から主人公キャラだなと最初は評されていましたが、(何かに)悟りを開いた太一を評するには不適当なものだったと思います。いつもプレッシャーを感じていた太一が、楽しむ心を持って挑みにきています。その楽しみ方でいいのか?と素で思いましたけど、イケメンの悪役キャラってのもサマになってるな~とか思ったり。



これもまた、一人のかるた人の物語とも言えます。
・・・・須藤さんとバチバチなのはビビったけどね!!





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理音の場合

33巻のラストで、色々と思うところのあった理音。初めて出てきたときを考えると成長度はかなり高いですよね。クイーンを目指すと昔の理音からは想像できない発言から、今回、クイーンを目指してはりきっています。
まぁ、お前は千早か!と言いたくなるようなポカがあった(お弁当を忘れる)りもしてますが、元々の能力の高さからユーミンをギリギリで退けていたり。36巻以降で千早との対戦があるみたいなので、かなり楽しみではあります。どちらもエネルギー経口補給タイプですが、勝つのはチョコかおにぎりか・・・・。


なお、理音のおばあちゃんでもある、キョコタンこと山城A級選任読手がこの年で引退らしく、理音のやる気がフルマックス状態です。ここにもまた絶対に負けられない戦いがある・・・・んですけど、勝つのは一人しかいないんですよねぇ。




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だれかの物語の一部分

名台詞生産マシーンの一人でもある原田先生が語っているとおり、誰かの物語の一部として他人がいます。勝ちたい、強くなりたい、一番になりたい、そんな気持ちを持った人たちの物語があり、糧なのか踏み台なのかは分かりませんが、誰かの物語の一人として繋いできた「ちはやふる」という物語。
千早の最初の対戦相手でもある書道ガールちゃんも、出産三か月で出場を断念した猪熊ママも、ユーミンや五十嵐読手(今回は選手として出場!)まで。十人十色の物語が描かれます。大人も子供も青春きらめきプライスレス状態!!!

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菫ちゃんの恋は続く

とはいえ、瑞沢高校高校かるた部の面々もその一部であり、物語の王道でもあります。個人的には巻末おまけ漫画の原ちゃん話とかすんごい好きですし、これまでも田丸成長物語もなかなかであったと思います。あとは、菫ちゃんと太一ママの話なんかもあったり・・・・。瑞沢高校の中では、千早以上に太一ママと絡みが多いような気がします。
彼女の恋が良い方向に行くといいですね・・・・。太一は暗黒面行きしてますけど。
まぁ、どうせ千早&新として、菫&太一、かなちゃん&机くん的な感じなんでしょ?残念ながら、俺は千早&太一派だけどな!!!!菫ちゃんが悲しむ方向になることをずっと願っていて申し訳ない・・・・。え、新?あいつには由宇ちゃんがいるから(震え声)。








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SSR集中する千早(覚醒)

誰かの物語の一部。しかし、勝つのは一人しかいませんし、その人こそが主人公と言えるかもしれません。
今回、主役の・・・主役であるはずの千早が覚醒モードに入っています。色々と遠回りのような近道のような物語をこれまで繰り広げてましたけど、感じの良さを磨き上げ、速く取らないことを学び、背筋を伸ばしのエトセトラ。覚醒状態の千早は、読まれる札が浮いて見えるようになったそうです。それが千早の感じの良さ。聴こえるという意味。
これで東日本予選を、クイーン若宮詩暢を倒せるといいですが・・・・。クイーンも、新に負けてから、強くなるアプローチを行っているようなので手強そうですが。これまでの3年間、それどころか新と太一とかるたを始めたあの頃からの情熱をぶつけてもらえればなあ、と。









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35巻のベストシーン

このシーンでご飯三杯いけるわ(エロム脳)
最近、頓に桜沢先生が好みになってきた気がします。歳のせいかもしれませんが。生徒たちのことを想い、今では、またクイーンを目指す青春きらめきプライスレス美女。アラフォーとのことですが、彼女の言ういやらしい技を受けてみたいものです。←変な意味で言ってます





もうすぐ高校生活も終わりますね。この作品もどこまでやるのでしょう。大学生活編をやってもらってもいいですけど、そもそも千早が合格するかが分かりませんねwwwww 浪人生編の方が現実味あるかもw あとは、映画も楽しみですね。